二つ目の備忘録

会計税務、読書、旅行など

個人事業主として開業する場合の手続きと注意点

f:id:cinqplans:20170123184305j:plain

個人が事業を開始して、個人事業主となる場合に必要な手続きと注意点を簡単にまとめてみたいと思います。

 

許認可が必要な場合

不動産業、飲食業、古物商など開業する業種によっては監督している行政機関の許認可が必要な場合があります。

 

税務署への届出

まず、「個人事業の開廃業等届出書」を開業から1ヶ月以内に所轄税務署に提出することになっています。また任意ですが65万円の特別控除を受けるためには「所得税青色申告承認申請書」を原則として開業から2ヶ月以内に所轄税務署に提出します。その他にも任意ですが、たな卸し資産の評価方法や減価償却資産の償却方法に関する届出があります。

 

個人事業者になる場合に注意すべきこと

(1)副業禁止規定に違反していないか

サラリーマンが副業でフリーランスの仕事などを行う場合は、会社の副業禁止規定に違反していないか注意しましょう。必要であれば事前に会社の許可を取ります。

 

(2)事業所得か雑所得か

事業所得は個人事業主の収入で、給与所得など一定の所得と損益通算することができます。つまり、個人事業が赤字であれば、給与所得と損益通算して節税を考えることが出来ます。ですが、個人事業による収入が必ず事業所得に該当するかというと必ずしもそうではありません。開業届を出していても、その内容や金額などで実質的に判断されます。このため、サラリーマンが副業で事業を行ったとしても小規模であれば雑所得とみなされることが多いです。雑所得となると、収入と費用の差額が20万円以上は申告が必要となり、損益通算は認められませんので赤字でも節税に使う事はできません。

 

(3)会計帳簿をつける必要がある

2014年1月から青色申告でも白色申告でも会計帳簿をつける必要があります。以前は青色申告者だけでしたが、法改正により変わりました。いわゆる正規の簿記の原則に従って帳簿に記帳を行い(白色申告者の場合簡易的な方法も認められます)、また帳簿は7年間、領収書は5年間保存しておく必要があります。

 

(4)扶養の問題に注意する

主婦が個人事業主となるような場合、事業所得が38万円以下であれば夫が所得税配偶者控除38万円(住民税は33万円)を受ける事ができますが、38万円を超えると配偶者控除が適用できません。このため夫の税率によってその分増税になります。妻の所得は給与所得ではありませんので、103万円が上限ではない点に注意が必要です。また、妻の事業所得が130万円を超えると社会保険の扶養対象から外れる場合もあるので注意が必要です。

 

(5)個人事業税の課税対象にならないか

個人事業主の場合、所得税・消費税・住民税に加えて、事業税の対象になる場合があり、注意が必要です。原則として所得(収入ー経費)が290万円を超えると、事業税がかかります。税率は業種によって異なり、多くの業種で5%となります。

 

まとめ

昨今副業ブームですが、個人で事業を始める場合には、このような手続きや注意点に留意する必要があります。もし節税を検討する場合には、家族全体で税金や手間を含むコストをトータルにみてシミュレーションしてみる事をお勧めします。