二つ目の備忘録

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広大地を相続贈与する場合の評価方法が変更に

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広大地を相続したり贈与する場合は、その評価が重要です。評価次第で、相続税や贈与税の金額が大きく変わるためです。本稿執筆時点で、平成30年1月1日よりこの評価方法が変更になる見込みです。まだ確定ではありませんが、国税庁が変更案を提示してパブリックコメントを募っており、おそらくこのまま変更になると言われています。

 

なぜ変更になるのか?

2つ理由があるようです。一つは、これまで広大地の定義が曖昧で、異なる解釈の余地があったため、税務訴訟が多く発生してしまっていたこと。もう一つは、昨今の時流である相続税増税です。今回の改正では多くの場合、広大地の評価額が大きくなってしまい、結果として相続税・贈与税が多くなると考えられます。したがって、要件に該当する広大地を持っている場合には、平成29年中に贈与して節税するという考え方が出てきます。

 

何がどう変更になるのか?

これまでは広大地の定義は少し曖昧で、地積500平米以上(三大都市圏以外は1000平米以上)、3階建以上のマンション適地でないこと、戸建分譲開発するときに私道等が必要なこと、大規模工場用地に該当しないこと、といったものでした。しかし、これに該当すれば地積1000平米の場合で45%も評価を下げることができ、インパクトが大きいものでした。

 

では、これがどう変わるのでしょうか?第一に、広大地の要件が非常に明確なものになります。まず地積については、変更なしで地積500平米以上(三大都市圏以外は1000平米以上)のままです。次に、所在地に関する要件として、①「普通商業・併用住宅地区」又は「普通住宅地区」に所在すること、②「市街化調整区域(条例指定区域等を除く)」、「工業専用地域」、「指定容積率が400%以上(東京都の特別区は300%以上)の地域」以外に所在すること、の2点があり、いずれも路線価図や都市計画図などの外部資料で簡単に判定することができます。

 

第二に、評価額の計算方法が変更になります。細かい計算方法は税理士におまかせいただければと思いますが、これまで広大地補正率といっていたものが、規模格差補正率というものに代わり、計算の内容も変わります。これにより、三大都市圏以外で地積1000平米の場合ですと、20%しか評価が下がりません。これまで45%下げられたものが、20%になるということです。

 

ただし、今回の改正では従来併用できなかった、奥行価格補正、不整形地補正、無道路地補正などのその他の補正を併用できるようになったため、形の悪い土地や立地に問題のある土地などは、こちらの補正を使って評価を下げることも可能です。

 

ではどうすれば良いのか?

要件に該当するかもしれない広大地の贈与を考えている場合には、まずはシミュレーションを行って、平成29年中の贈与が本当に節税につながるのか検討されることをお勧めします。