二つ目の備忘録

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「弱者の戦略」を読んで税理士事務所の運営を考える

 

 

弱者の戦略 (新潮選書)

弱者の戦略 (新潮選書)

 

 

「弱者の戦略」を読みました。この本で扱う弱者とは動物や昆虫、植物など生物一般なのですが、中小事業者の運営にもよく当てはまるように思った訳です。

 

そこで、自分の場合に当てはめて、税理士見習いの立場から税理士事務所の運営について考えてみたので備忘のためメモします。

 

基本的な戦略

弱者にとっての基本的な戦略とは「群れる」「逃げる」「隠れる」「ずらす」ということで、これを税理士事務所の運営に当てはめてみるとどうなるでしょうか?

 

「群れる」は税理士も得意分野がそれぞれ違ったりしますので、資産税の得意な税理士と組んだり、あるいは別の士業の先生と組んだりとか、そういう感じでしょうか。また、税理士にも任意団体があって交流とか情報交換とかがあるので、そういうものも示すと思います。人付き合いが苦手だと群れるのも大変ですが、ひとりで戦うよりも強くいられるということだと思います。

 

「逃げる」は危ない事案には近づかないということでしょうか。いくらお金になる仕事でもやばい話とか気が進まない話は受けないで逃げるに限ります。「逃げるは恥だが役に立つ」とはハンガリーのことわざだそうですが、弱者ならまったくそのとおりです。

 

「隠れる」はちょっと思いつかないですね。生物だと擬態とか身を守ることを示すようですが、税理士の場合詐欺行為とか脱税とかちょっと違法な感じしか思いつかず、これは無いのかなという感じです。

 

一方では「ずらす」は多いに考えられます。時間をずらす、場所をずらして戦うことは出来るように思います。時間で言えば、ほとんどの事務所は平日の昼間の時間にやっていますが、休日に対応するとか、夜間に対応するとか考えられます。場所も自分が住んでいる市など登録税理士が100人もいますので、「xx市と○○市」だけ対応のようなこれまでの考え方(地域税理士)では無理があります。ネットを使って日本全体とか世界も対応するとか考えられますね。アメリカに住んでいる日本人が日本で申告納税するのをサポートするとか、考えられるかなと思いました。もうやっている人もいるとは思いますが・・・

 

応用的な戦略

「弱者の戦略」では他にも応用的な戦略がいくつか紹介されています。たとえば、ニッチを探してナンバーワンになる、あえて戦わない負け犬戦略、変化を好んで適応する、強者の力を利用する、などです。要するにどうやって棲み分けるのか、という話です。

 

税理士事務所の運営についてもニッチはあるように思います。上述の「ずらす」や自分の得意技の組み合わせでニッチは見つかるものです。ですがナンバーワンに成れなければやがて淘汰されますので、そこが難しいところですね。

 

その反面、負け犬戦略というのもそれなりに有効です。結局のところ自分と自分の家族さえ幸せならそれで良い訳で、無理して事務所を大きくする必要などない訳ですから、成長しないことを前提とした考え方も多いにアリですね。

 

状況の変化というもの好機以外の何者でもありません。特に最近はクラウドとかフィンテックとか会計業界を取り巻く状況も変化が激しいですから、こういうものも積極的に対応していく姿勢が大切ですね。

 

また現実問題として食っていくために強者の力を利用するのもひとつの考え方です。大きな事務所から仕事を回してもらうとか、立ち上げ期のサバイバルとして考える必要があるかもしれません。

 

「弱者の戦略」は生物の本ですがとても示唆に富む内容でした。自分も含めて世の中の大多数は「弱者」でしょうから、それぞれの立場に当てはめて、どんなことが出来るか、どんなことを考える必要があるのか、思いに浸りながら読むのがお勧めです。